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閑話及第-594

閑話及第-ノートルダム大聖堂がなければ、パリの歴史と風景は不完全です。したがって、今回の火災は、パリの象徴を損ない、フランス人の魂を傷つけたフランス国家の悲劇です。これはフランス人でなくてもわかります。説明するまでもなく、ノートルダムはフランス語で「われらが貴婦人」の意味です。聖母に捧げられたこの教会はパリの大聖堂はカトリック信仰の中心地です。中世12世紀半ばに建設が始まり、200年を掛けて完成したのです。そのため、貴重な聖遺物も多い博物館でもあります。セーヌ川に浮かぶシテ島にそびえ立つ大聖堂はまさにパリ中心部に位置し、年間1300万人の観光客が訪れるノートルダム大聖堂ですが、信仰の光です。そして、中世の技術と美意識が融合したゴシック様式の傑作です。荘厳な外観、美しい彫刻に飾られた正面、その上に伸びる二つの塔、鮮やかな色彩を見せるステンドグラスが還暦ジジイのような異教徒をも別世界を思わせて惹きつけます。       ここを舞台にした歴史もあります。ナポレオンは1804年、皇帝になるための戴冠式を、ローマ法王を臨席させて挙行しました。ジグソーパズルの絵にありました。20世紀には2度の大戦中、平和を祈願するミサがおごそかに挙げられ、終戦に際しては歓喜の鐘が打ち鳴らされました。大統領だったドゴールやミッテランの葬儀が営まれたのもここでした。青山葬儀所の比ではないですね。ノートルダム大聖堂は立場の違いや集団の対立を超えて、国民の心を結びつける役割を果たしてきた「記憶の場」ですね。これは事実です。                                    火事の発生時に現場周辺では数多くのパリ市民と観光客が不安げに、時には目に涙を浮かべて、何もできない無力感のまま消火作業を見守っていました。そこには大惨事を前にして自然発生的に生まれた一種の連帯感を感じました。宗教とはこういうものですかね。日本にもこういう連帯感は生まれます。文化を越えて理解できる感覚です。復興を心から祈念します。

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